Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 174.521 caratteri · 344 schermate
藤村の詩の中に、こんな句がなかったかしら「何にたとへんこの思ひ。生けるいのちのいとしさよ」と。
きょうは珍しいことでしょう、こうやって手紙を拝見してすぐそこで返事書き出せるというのは。幾ヵ月ぶりかのことね。そして、これは私の生活のリズムの自然さですから、うれしいわ。クマさんもありがたいことです。今あっちの縁側で鋏鳴らして掛布団のほごしをやっているから、なおのこと空気が調和していて。
ふとん類についてわたしがどんなにクヨクヨ思いなやんでいるかお察しがつくでしょうか。只今世間に綿はないのよ。ふとん側の布地も買えません。今のを大切に使うので、それはいいが、どこへないないちゃんちゃん、としておいたら、無事に秋あなたをくるむことが出来るのかと、それについての思案でとつおいつです。何しろ八月と九月殆ど一杯という時間にはさまっていて、それは只ものでない時間ですもの。縫うことは早くしておかなければだめよ。だってクマさん、ちょいと自信ありげに口を尖らして、ああやって鋏鳴らしているのも、つまりは天から降って来るのが雹どまりのうちですからね。熱いこわいものが一度落ちたら、さっさとトランクもって桐生へかえってしまうでしょう。