Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.453 caratteri · 101 schermate
八月二十七日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
八月十八日夕方から。第七信。
この紙は、型が小さくてぽっこり四角くなって何だか窮屈めいて居りますね。大きい紙にたっぷり大きく書いた字。それはきっと御覧になって心持がよいだろうと思いますが、書くとついこまかくなる、段々こまかく粒々になってとけ込んで行くような工合になる、面白いものです。時々は字をかかないで音でたよりをあげたい位です。貴方が音譜をおよみにならないのは、何と残念でしょう。
あなたの窓から見えるものは何でしょう、空、電信柱、雀、樹の梢、それから何でしょう? 花はあるかしら。この頃きっと随分空を御覧になるでしょう。空は時々海に似て、よく眺め入ると体が浮いてしまうでしょう? 流れてゆくでしょう? 私はこの感じはよく知って居ります。だが果してそれだけの面積が見えるか? 安積の夕焼空の色彩の燃える美しさは驚くばかりです。太郎はどんな風にあの夕焼空の下をヨタヨタ歩いているでしょうか。
十九日の昼。
机に向っている。うしろから涼風が入って来る。仕事にとりかかる一寸前。昨夜鶴さんが保田からかえって来て、すっかり皮膚をやいて皮をはがしてかえって来ました。