Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.810 caratteri · 225 schermate
今年私たちのまる五年目の生活は随分はりつめたものでしたね。肉体の強靱さと精神の均衡というものは何と微妙でしょう。一本橋をわたるとき、落ちやしまいか、落ちたらこわい、という恐怖が足をすべらせる。そしてそれと反対のもの。私は、扇をひらいて褒めて上げたいと思う。もとより当然のことではあるけれども。あなたをとり戻したという感じ。そのはっきりしたあなたの姿が打って来る感じ、その感動がどんなだか本当に、本当におわかりになるだろうか。
夜なかに霜がおりて、朝とけ、夜月がさして木の葉がおちているように、そういう絶間ない営みで生活力をたかめて行きましょう。すっかり新しいしっかりした地べたのところまで出切りましょう。うれしさから涙をこぼしながら笑って、或責任と義務の自覚による意力からだけ自分がやっぱり生きて行かなければならないものかと思うことは、殆ど堪え難かったと、今話すことの出来るのは何と笑える、そして又涙の出る心持でしょう。これを云ってしまえば私のくつろぎも底をついた形ですね。では又。呉々も大切に。決して今までの周密さを御自分の体に対してゆるめないで下さい。
十一月二十五日夕 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕