Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ことのそらね

琴のそら音

夏目 漱石

Leggi 琴のそら音 (ことのそらね) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.985 caratteri · 42 schermate

Aozora Bunko

その時医者の話さ。この頃のインフルエンザは性が悪い、じきに肺炎になるから用心をせんといかんと云ったが――実に夢のようさ。可哀そうでね」と言い掛けて厭な寒い顔をする。

「へえ、それは飛んだ事だった。どうしてまた肺炎などに変じたのだ」と心配だから参考のため聞いて置く気になる。

「どうしてって、別段の事情もないのだが――それだから君のも注意せんといかんと云うのさ」

「本当だね」と余は満腹の真面目をこの四文字に籠めて、津田君の眼の中を熱心に覗き込んだ。津田君はまだ寒い顔をしている。

「いやだいやだ、考えてもいやだ。二十二や三で死んでは実につまらんからね。しかも所天は戦争に行ってるんだから――」

「ふん、女か? そりゃ気の毒だなあ。軍人だね」

「うん所天は陸軍中尉さ。結婚してまだ一年にならんのさ。僕は通夜にも行き葬式の供にも立ったが――その夫人の御母さんが泣いてね――」

「泣くだろう、誰だって泣かあ」

「ちょうど葬式の当日は雪がちらちら降って寒い日だったが、御経が済んでいよいよ棺を埋める段になると、御母さんが穴の傍へしゃがんだぎり動かない。雪が飛んで頭の上が斑になるから、僕が蝙蝠傘をさし懸けてやった」