Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
やはり麓で焚く晩春の花の陽気は、山に伝わって、山頂でも早春ぐらいのぬくもりを萌し出したためでしょうか。ても窃窕とした大自然のいろ気――
葛岡と、案内者に頼んだ茶店の老人とは、道端の白樺の根株の雪を払って腰を下し、巻煙草を分ち合って、のどかな煙を立てゝいました。淡い翡翠いろの大沼の水面の右寄りにチョコレート菓子をちょんと一つ置いたような形のものがあります。小鳥ヶ島というのだと案内の老人は説明しています。
「鳥はあの小鳥ヶ島と、赤城神社のお宮の樹にいちばん早く来るだね。すると、山はまず春だね」
もう行く先は眼の下に見えていますので、私たちは案内者の老人を犒い、私たちが徒歩で出発した箕輪の駅へ、こゝから帰してやりました。
「あんた等に貸したその雪沓は、脱いだらそのまゝ旅館へ預けて置いて下せえ。わしらもどうせ、五月八日の赤城さまのお祭りには大洞へ上りますだから」
私たちはだら/\と雪の火口原へ下り、湖面近くへ辿りつきました。湖水近くの東西に控えている二軒の大きな旅館と、公衆旅舎を廻って、安宅先生を尋ねてみましたが、そのどれにも先生はいませんでした。氷切りの人足の泊まるという湖尻のいぶせき宿に、ようやく先生を尋ね当てました。