Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
もう見物の船はすみだ川へ向け神田川を競って下っています。私たちの船も中に混ります。明治の初期の俤を見せている鉄の柳橋の下を潜ります。こゝを詠んだ昔の江戸っ児詩人の詩だといって池上は、
竹枝影在水楼間 春入嬌波洗碧湾
柳線織成鶯羽色 雲鱗畳得鯉魚斑
こんな詩を口誦んで聞かせます。角の柳光亭の楼上、楼下は雛壇のような綺羅びやかさを軒提灯の下に映し出しています。間を置いて打ち揚げる花火の音を聴き、空に拡がる光の傘を仰ぎながら、すみだ川へ出ます。池上はまた其角の句だといって、
この人数ふねなればこそ涼かな
と口誦んでみせます。葛岡は判るのか判らないのか畏って聴いています。
いかさま日頃はひろい川づらも、動く舟、とゞまる舟で埋っています。それはまるで川の中に都市が出来たようで、町並や往還や、水の上とも思われません。それに一々灯が入り、瞬く煌めきで川は両岸ごとむず/\動いているように見えます。水上署の巡警船が交叉点に立ってメガホンや提灯で、来る船々を整理しています。川一面に低く唸るような人声の総音、その上を転がって行く女の癇高い笑い声、夕風に爪を立てゝ引裂くような怒鳴り声、どこともなく浮かれた鳴物の音。