Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
そこでわたくし自身の様子はどうなのでございましょう。
あゝ、わたくしの人並ならぬ生の憩い、それは生活に於ては河沿いの土に起き臥し、こゝろに於ては謎の性質のいく重ねの層を経潜って、この程では、たゞ「謎々なあに、照る日にからかさ」というような稚純極まる心田の素地に朝夕をあくがれ遊ぶ身の上になってまいりました。
説明解説というものくらい生き身のものから匂いも香も振り捨て、物事を薬品臭く押花に乾燥してしまうものはありません。けれども、何の把手も足がゝりのない心歴の記録も亦、意味ないものでございましょう。そこで一口だけ後の思い出の緒口にするよすがになるものを述べて置いて見ましょうか。
諸行無常を、人世の矛盾を、生の疲れを、突き詰めてみたり離して眺めてみたり、中にぽっこり嵌り込んでみたり、時によっては全く抛って忘れてみたり、わたくしは心を謎に住せしめているつもりでもわれ知らぬ求覓の歯はわたくしの止息の努力如何に係らず昼夜休まず働いてこれ等の対象の事実を噛み進み行く事は折返して歯尖を観照する謎の心へも噛み込まして行く作業をいたします。かくてわたくしはいつの間にか一つの心田の素地に行当っていたのでした。