Classici giapponesi con furigana
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せいあらば
生あらば
豊島 与志雄
Leggi 生あらば (せいあらば) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.046 caratteri · 47 schermate
長く看護に疲れた羽島さんの心には、一寸した考えの向け方が直ちに凶なる予想を事実として決定せしめるだけの切端つまったものがあった。そしてその考えが壮助にもすぐに感染してきた。
「兎に角私が医者によく聞いてみましょう。」
「どうかお願いします。」
「一体呼吸器の病気は胃腸を丈夫にしなければいけないものですから、胃腸の薬は絶えず取らなければならないでしょうが、然し、ほんとに胃腸に病気が出たとすると……。」
「駄目なものでしょうか。」
「そうですね……然し……。」
言葉では何にも云えなかった。うち破れない黒い壁が前にあった。じりじりとその壁に向って進んでゆく外に、もう後ろをふり返れなかった。
「それにまた……。」
と羽島さんは何やら云いかけたが、その時表の方に「御免!」という声が聞えた。そしてまた再び高くくり返された。
羽島さんは立ち上った。
「いや……それではどうか医者の方をお頼みします。それに依ってまた……。」
壮助はじっと其処に残っていた。表の方からは「鉛筆と紙を」という年若い青年の声が響いた。羽島さんが鉛筆の入った箱を出しているらしい音も聞えた。それは一家を支える僅かな商売だった。