Classici giapponesi con furigana
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
Leggi 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.587 caratteri · 100 schermate
と言ったKも、君もそのまま黙ってしまった。Kには、物を言われないでも、君の心はよくわかっていたし、君はまた君で、自分はきれいにあきらめながらどこまでも君を芸術の捧誓者たらしめたいと熱望する、Kのさびしい、自己を滅した、温かい心の働きをしっくりと感じていたからだ。
君ら二人の目は悒鬱な熱に輝きながら、互いに瞳を合わすのをはばかるように、やや燃えかすれたストーブの火をながめ入る。
そうやって黙っているうちに君はたまらないほどさびしくなって来る。自分を憐れむともKを憐れむとも知れない哀情がこみ上げて、Kの手を取り上げてなでてみたい衝動を幾度も感じながら、女々しさを退けるようにむずかゆい手を腕の所で堅く組む。
ふとすすけた天井からたれ下がった電球が光を放った。驚いて窓から見るともう往来はまっ暗になっている。冬の日の舂き隠れる早さを今さらに君はしみじみと思った。掃除の行き届かない電球はごみと手あかとでことさら暗かった。それが部屋の中をなお悒鬱にして見せる。
「飯だぞ」
Kの父の荒々しいかん走った声が店のほうからいかにもつっけんどんに聞こえて来る。ふだんから自分の一人むすこの悪友でもあるかのごとく思いなして、君が行くとかつてきげんのいい顔を見せた事のないその父らしい声だった。