Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Leggi 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 91.598 caratteri · 182 schermate

Aozora Bunko

「と、申しますと何者かが、あの品物を隠して持っている――と、このように仰言いますので?」

「さよう、わしはそう思う」

「その反対とも申されましょう」

「はてな、それはどういう意味かな?」

「無価値な品物と見きわめられて、古道具屋の店先などに、転がされているのではござりますまいか?」

「もしそうなら面白いの」

「いえ勿体なく存じます」

「お前ひとつ探してはどうか」

「は。さようで。探し出しましょうか」

「好事家で名高いお前のことだ。探し出したらはなすまいよ」

「いえ、ご連枝様に差し上げます」

「これこれ何だ雲州の爺、いちいち極東のカリフ様だの、ご連枝様だのと呼ばないがよい。わしとお前とは話相手ではないか。わしの名を呼べ、慶正と呼べ」

「ハッ、ハッ、ハッ、呼びましょうかな」

聞くともなしに聞いていた宮川茅野雄はこの言葉を聞くと、

「ははあ」と、呟かざるを得なかった。二人の身分がわかったからである。

極東のカリフ様と呼ばれたり、ご連枝様と呼ばれたりする武士は、奇矯と大胆と仁慈と正義と、平民的とで名を知られている、一ツ橋大納言の弟にあたられる、徳川慶正卿その人であり、雲州の爺と呼ばれている武士は、出雲松江侯の傍流の隠居で、蝦夷や韃靼や天竺や高砂や、シャムロの国へまで手を延ばして、珍器名什を蒐集することによって、これまた世人に謳われている