Classici giapponesi con furigana
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たはらしのはんざい
田原氏の犯罪
豊島 与志雄
Leggi 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.957 caratteri · 57 schermate
三
」
そう云って田原さんは何とも云えない表情をした。心持ち眉根を寄せて眼を細くした様が、しげ子には丁度泣き顔のように見えた。
でしげ子も妙に悲しくなってそれ以上何とも云わなかった。
その四…………
その五…………
三
田原さんは夕方、庭に出て草木に水をやった。それは夏の間の彼の日課の一つだった。冷たい水に昼間の炎熱と埃とが洗い落され甦ったような色に輝いてくる草木の葉は、直接に彼の心に迫って、彼の心を生々さした。高地芝と飛石とその間に配置せられた松、その右手の奥には大きな岩石が据えられて、蔦の葉が絡んでいた。左手の奥には樫や椎の立木がこんもりと茂って、その向うには湯殿の煙筒から煙が上っていた。田原さんはただむやみとその庭に水を濺いだ。飛石の側には小さな松葉牡丹が黄色い花を開いていた。
庭に水をまき、暮れかかってぱっと明るい大空を仰いだ田原さんの姿は、如何にも静かであった。心持ち禿げ上った額と赤味を帯びている濃い口髯とのその顔には、別に何等の感情も浮んでいなかった。彼はただ在るがままの心で空と地との静けさを呼吸した。
良助が其処にやって来た時、田原さんは縁側に腰掛けていた。