Classici giapponesi con furigana
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いなかいしのこ
田舎医師の子
相馬 泰三
Leggi 田舎医師の子 (いなかいしのこ) di 相馬 泰三 (そうまたいぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.947 caratteri · 76 schermate
と、ふとした機に、彼はその大きな柳の樹の根元の草叢の中に雲雀の巣を見つけ出したのであった。彼は躍り上るようにして喜んだ。どうしようと云う訳もないのだが、たゞむしょうと嬉しくて胸がいたずらにどきどきするのを覚えた。藁屑や、鶏の胸毛や(人間の女の毛なども混じっていた)で巧妙に造られたその巣の中には、灰色の小さな卵が、三個まで数えられたのであった。親鳥が自分の頭の上でしきりに鳴いていた。それに気がつくと彼は、つとそこから離れた。それは、この巣の主が、この乱暴者のために自分の巣を窺われている事を知って、それを酷く怖しがってその日から巣も卵も捨ててどこかへ逃げてしまいはしないかと思ったからであった。そして彼は、
「まるでうまい工合に深く草の中に隠れていやがる。これでは誰の目にも決して入りはしない。」こう囁いて、その日はそのまま家へ帰って来た。明くる朝、そっとそこをみまってみると、急に巣の中から親鳥が一羽飛んで出た。
「あ、母親だ。」彼はこう云った。そして「卵を温めていたんだな!」と思った。毎日同じようにしてその巣を覗きに行った。
彼の背丈を埋めそうに麦が伸びて、青い穂が針のようにちかちかと光っていた。