Classici giapponesi con furigana
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ばんちょうさらやしき
番町皿屋敷
岡本 綺堂
Leggi 番町皿屋敷 (ばんちょうさらやしき) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.494 caratteri · 67 schermate
六
播磨に捨てられて生きていられるであろうか。お菊は暗い柳のなびく井筒に眼をやった。
男に愛情がない以上、自分はどの道生きてはいられないのである。男に真の愛情があれば、宝を損じても自分は確かに生きられるのである。お菊は命賭けで男の魂を探ろうと決心した。たとい一枚でも大切の宝をむざむざ打毀すのは勿体ないと思いながら、彼女はもうそんなことを恐れてはいられなくなった。
隣の琴の音はまだ続いていた。お菊は魔の憑いた人のように、急に大胆な心持になって、もとの台所へ引返して来ると、十太夫も若党ももうそこには見えなかった。お仙は裏の井戸を汲んでいた。
六
「あれッ」
お菊のただならない叫び声を聞き付けて、十太夫が台所へ出て来た時には、高麗皿の一枚が砕けていた。物に頓着しない十太夫も眼の色を変えて慌てた。お菊は疎匆で大切の皿を取落したといった。
「さっきもあれ程に申聞かせて置いたに、かような疎匆を仕出来しては、そちばかりでない、この十太夫もどのようなお咎めを受きょうも知れぬ。ともかくも部屋へ退って神妙にいたしておれ」
お菊は自分の部屋へ押籠められてしまった。初めから覚悟を決めている彼女は、ちっとも悪びれずに控えていると、暮六つの鐘がまだ聞えないうちに播磨は帰って来た。