Classici giapponesi con furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Leggi 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.507 caratteri · 291 schermate
してやることにしました。市野さんはわたくしの病気を気の毒がって、それも昔にさかのぼればやっぱり自分から起ったことだと言って、わたくしが家へ帰っているあいだは幾らかの小遣いを送ってくれるように言っていました。
それでその時は無事に別れて、わたくしは兄よりもひと足おくれて家へ帰りましたが、わたくしの病気は重いといっても、ずっと寝ているようなわけでもないので、あくる朝、久し振りに川の堤へあがって、芒のなかをぶらぶら歩いていると、足もとに近い水の上に薄白と薄むらさきの小さい花がぼんやりと浮いて流れているのが眼につきました。幽霊藻が相変らず咲いていると思うと、不思議にそれが懐かしいような気になって、そこらに落ちている木の枝を拾って、その藻をすくいあげて、まあどういう料簡でしょう、その濡れた草を自分のふところへ押し込んだのです。ちょうど七年前に、市野さんがわたくしの懐ろへ押し込んだように……。その濡れて冷たいのが、きょうは肌にひやりとして、ひどくいい心持なので、わたくしは着物の上から暫くしっかりと抱きしめているうちに、また急に市野さんが恋しくなって来ました。