Classici giapponesi con furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Leggi 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.507 caratteri · 291 schermate
太吉はさっきから筵をかぶって隅の方にすくんでいた。重兵衛も言い知れない恐怖に囚われて、再びこの旅人を疑うようになって来た。かれは努めて勇気を振り興して、この不気味な旅人を追い出そうとした。
「なにしろ何時までもこうしていちゃあ夜がふけるばかりですから、福島の方へ引っ返すか、それとも黒沢口から夜通しで登るか、早くどっちかにした方がいいでしょう。」
「そうですか。」と、旅人はまた笑った。
消えかかった焚火の光りに薄あかるく照らされている彼の蒼ざめた顔は、どうしてもこの世の人間とは思われなかったので、重兵衛はいよいよ堪らなくなった。しかしそれは自分の臆病な眼がそうした不思議を見せるのかも知れないと、彼はそこにある鉈に手をかけようとして幾たびか躊躇しているうちに、旅人は思い切ったように起ちあがった。
「では、福島の方へ引っ返しましょう。そしてあしたは強力を雇って登りましょう。」
「そうなさい。それが無事ですよ。」
「どうもお邪魔をしました。」
「いえ、わたくしこそ御馳走になりました。」と、重兵衛は気の毒が半分と、憎いが半分とで、丁寧に挨拶しながら、入口まで送り出した。