Classici giapponesi con furigana
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くじょしょうろく
痀女抄録
矢田 津世子
Leggi 痀女抄録 (くじょしょうろく) di 矢田 津世子 (やだつせこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.578 caratteri · 65 schermate
落ちる雫のはずみをうけて葉が微かに揺れている。師匠は、軒のしのぶを取りはずして其処にしゃがんで、わずか残ったバケツの水で丹念に葉を洗い、葉のへりが黄色く闌れたようになっている分を眼鏡を寄せて検べ見ながら、指さきで丁寧に撮みとっていられる。
おもて格子の開く気配がして、取り次ぎに出た銀三が、
「三昧堂さんがお誂えを届けに参りました」と、うこん色の大風呂敷にくるんだものを差し出した。
師匠は、しのぶを軒に吊して雑巾で足を拭き了えると裾をおろして入って来られた。
「こんどはお叱り頂かないように材料のほうも充分に吟味致しましてございますが、へえ……黒檀もここいらへんになりますと上の上でございます」
三昧堂は乗り出して簾屏風の蔭から中低の顔をのぞかせて金歯をチラチラ弁じたてた。
師匠は額縁を取り出してコツコツと敲いて音を試したりしていたが、軈て立って、うしろの戸棚から金布をかむせた小枠をとりおろした。
「お手伝いいたしましょう」
と言って、三昧堂は上りこんだが、師匠は人手をかりず枠糸をとりのけて、ながいことかかって額縁に嵌めこんだ。柱のところに立てかけておいて、すざって眺めていられる。