Classici giapponesi con furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Leggi 痴人の愛 (ちじんのあい) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 179.399 caratteri · 353 schermate
しかしナオミのいたずらは、まだこれだけでは止まないのでした。肩がすっかり剃れてしまうと、袂をまくって、肘を高くさし上げて、
「さ、今度は腋の下」
と云うのでした。
「え、腋の下?」
「ええ、そう、―――洋服を着るには腋の下を剃るもんよ、此処が見えたら失礼じゃないの」
「意地悪!」
「どうして意地悪よ、可笑しな人ね。―――あたし湯冷めがして来たから早くして頂戴」
その一刹那、私はいきなり剃刀を捨てて、彼女の肘へ飛び着きました、―――飛び着くと云うよりは噛み着きました。と、ナオミはちゃんとそれを予期していたかの如く、直ぐその肘で私をグンと撥ね返しましたが、私の指はそれでも何処かに触ったと見え、シャボンでツルリと滑りました。彼女はもう一度、力一杯私を壁の方へ突き除けるや否や、
「何をするのよ!」
と、鋭く叫んで立ち上りました。見るとその顔は、―――私の顔が真っ青だったからでしょうが、彼女の顔も―――冗談ではなく、真っ青でした。
「ナオミ! ナオミ! もうからかうのは好い加減にしてくれ! よ! 何でもお前の云うことは聴く!」
何を云ったか全く前後不覚でした、ただセッカチに、早口に、さながら熱に浮かされた如くしゃべりました。