Classici giapponesi con furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Leggi 痴人の愛 (ちじんのあい) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 179.399 caratteri · 353 schermate
「ねえ、ナオミちゃん」
と、私は或る時彼女に云いました。
「僕とお前はこれから先も友達みたいに暮らそうじゃないか、いつまで立っても。―――」
「じゃ、いつまで立ってもあたしのことを『ナオミちゃん』と呼んでくれる?」
「そりゃそうさ、それとも『奥さん』と呼んであげようか?」
「いやだわ、あたし、―――」
「そうでなけりゃ『ナオミさん』にしようか?」
「さんはいやだわ、やっぱりちゃんの方がいいわ、あたしがさんにして頂戴って云うまでは」
「そうすると僕も永久に『譲治さん』だね」
「そりゃそうだわ、外に呼び方はありゃしないもの」
ナオミはソオファへ仰向けにねころんで、薔薇の花を持ちながら、それを頻りに唇へあてていじくっていたかと思うと、そのとき不意に、
「ねえ、譲治さん?」と、そう云って、両手をひろげて、その花の代りに私の首を抱きしめました。
「僕の可愛いナオミちゃん」と私は息が塞がるくらいシッカリと抱かれたまま、袂の蔭の暗い中から声を出しながら、
「僕の可愛いナオミちゃん、僕はお前を愛しているばかりじゃない、ほんとうを云えばお前を崇拝しているのだよ。お前は僕の宝物だ、僕が自分で見つけ出して研きをかけたダイヤモンドだ。