Classici giapponesi con furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Leggi 痴人の愛 (ちじんのあい) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 179.399 caratteri · 353 schermate
「ああ、先生、―――ちょいと、杉崎先生よ」
ナオミはそう云って、私の手を執って、その婦人のいるソオファの方へ引っ張って行きました。
「あの、先生、御紹介いたします、―――河合譲治―――」
「ああ、そう、―――」
と、杉崎女史はナオミが赧い顔をしたので、皆まで聞かずにそれと意味を悟ったらしく、立ち上って会釈しながら、
「―――お初にお目に懸ります、わたくし、杉崎でございます。ようこそお越し下さいました。―――ナオミさん、その椅子を此方へ持っていらっしゃい」
そして再び私の方を振り返って、
「さあ、どうぞおかけ遊ばして。もう直きでございますけれど、そうして立ってお待ちになっていらしっちゃ、おくたびれになりますわ」
「………」
私は何と挨拶したかハッキリ覚えていませんが、多分口の中でもぐもぐやらせただけだったでしょう。この、「わたくし」と云うような切口上でやって来られる婦人連が、私には最も苦手でした。そればかりでなく、私とナオミとの関係をどう云う風に女史が解釈しているのか、ナオミがそれをどの点までほのめかしてあるのか、ついうっかりして質して置くのを忘れたので、尚更どぎまぎしたのでした。