Classici giapponesi con furigana
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しろいかべ
白い壁
本庄 陸男
Leggi 白い壁 (しろいかべ) di 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.697 caratteri · 51 schermate
――」そう雄弁になってぶちまけだした子供の言葉を、杉本はじいっと聞いていることができなくなった。彼は埃と床油の臭気が立て籠めていることに思いあたり廻転窓の綱をがちゃりと曳いた。夕映えの反射がそこで折れて塗板の上をあかるくした。「先生えあたいなんかはなあ、まちの子供みたいにあそんじゃいられねえよ、おっ母の畜生が逃げっちゃったんだ、そうよ、船は儲からねえからよ。儲からねえたって言ったって……」教師は照れかくしに教卓のまわりを歩き、ぱっぱっと煙草をふかしつづけた。落第坊主即低能と推定されて自分の手に渡されたこの痩せこけた子供が、こんなに淀みなく胸にひびく言葉をまくしたてるのだ。よしそれならば――と杉本は真赤な顔を子供に向けなおし、まだわめきつづけようとする口を強制的にでも止めてしまおうとした。
「よし!」杉本はどしんと床を踏みならした。「よし! もうわかった、それならば――」彼のそのいきおいにはっと落第生に変化してしまった川上忠一は、亀の子のように首をすくめぺろりと細い舌を出した。しまった――と思ったがすでにおそいのである。そして彼自身もその刹那から職業的な教師にかえったのも知らずに、「それではなあ川上、これから先生が訊ねることはどんどん返事をしてくれよ」