Classici giapponesi con furigana
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しろいみち
白い道
徳永 直
Leggi 白い道 (しろいみち) di 徳永 直 (とくながすなお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.169 caratteri · 36 schermate
――裂けめだ。何かしら大きな裂けめだ。
ボルの理論は、まだしっかりつかめぬながら、小野から日ごとに離れてゆく自分を、三吉は感じている。しかもその大きな裂けめにおちこんで、しかもボルの学生たちとは、つまり土地で“五高の学生さん”というような身分的な距離があるのだった。――そしてそうやって、いらいらしていると、たいくつな、うすよごれた熊本市街の風景も、永くはみていられなかった。
「――そりゃァ理想というもんですよ、空想というもんですよ。ええ」
夜になって、高坂の工場へいって、板の間の隅で、“来り聴け! 社会問題大演説会”などと、赤丸つきのポスターを書いていると、硝子戸のむこうの帳場で、五高生の古藤や、浅川やなどを相手に、高坂がもちまえの、呂音のひびく大声でどなっている。そしてボルの学生たちも、こののこぎりの歯のような神経をもっている高坂との論争は、なかなか苦手であった。そばで一緒にポスターを書いていた五高の福原も、筆をほうりだしてそっちへゆくと、三吉はひとりになってしまう。
「――勿論、貴公らがだナ、ボルだのアナだのと、理想をいうのはけっこうですよ。しかし、しかし――まぁ、わしのいうことをきくがええ、しかしだナ、熊本あたりの労働者というもんは、そんな七むずかしいことはわからんたい。