Classici giapponesi con furigana
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しろくれない
白くれない
夢野 久作
Leggi 白くれない (しろくれない) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.846 caratteri · 50 schermate
白魚の如き指をさしのべて筧の水を弄ぶうちに、消ゆるが如く方丈に入り、内側より扉をさし固むる風情なり。
われ余りの事に呆れ果て、茫然と佇みて在りしが、物好きの心俄かに高まり来りて止み難くなりつ、何気なく前庭に出づるに、早くも起き出でし寺男と思しく、骨格逞ましく、全身に黥したる中老人が竹箒を荷ぎて本堂の前を浄め居り。
われ其男に近づきて慇懃に笠を傾け、これは是れ山路に踏み迷ひたる六部也。あはれ一飯の御情に預り、御本堂への御つとめ許し賜はらば格別の御利益たるべしと、念珠、殊勝気に爪繰りて頼み入りしに彼の寺男、わが面体の爛れたるをつく/″\見て、まことの非人とや思ひけむ、他意も無げにうち黙頭きつ。此処は筑前国、第四十四番の札所にして弘法大師の仏舎利を納め給ひし霊地なり。奇特の御結縁なれば和尚様の御許しを得む事必定なるべし。暫く待たせ給へとて竹箒を投げ棄て庫裡の方へ入り行きぬ。
それより何事を語らひたりけむ。やゝ暫くありて本堂の中に大きやかなる足音聞こえつ。やがて本堂の正面の格子扉を音荒らかに開きたる者を見れば、年の頃五十には過ぎしと思はるゝ六尺豊かの大入道の、真黒き関羽鬚を長々と垂れたるが、太く幅広き一文字眉の下に炯々たる眼光を輝やかして吾を見上げ見下す体なり。