Classici giapponesi con furigana
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はくじつむ
白日夢
豊島 与志雄
Leggi 白日夢 (はくじつむ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.672 caratteri · 23 schermate
ていた。それでも気は確かだった。そして街路に明るくともってる電気や瓦斯の光のように、頭の中も明るく輝き渡っていた。電車の中や大通りにつみ重ってる人の顔が、どれもこれも皆親しみ深くて、そしてまた物珍らしかった。大きな石をめくって、その下に巣くってる蟻共が、驚き騒ぐのを見るように、この都会の人家を中天に巻き上げて、無数の人が右往左往するのを見たならば、さぞ面白いことだろうと、そんなことを考えていた。
空は茫と霞んで、星が淡々しかった。なま温んでる空気が横町にはいると処々に、咽せるような新緑の香を湛えていた。いい気持の晩だった。しっとりと落付いていた。私はいつまでも歩き続けたいのを、家に帰ることが義務ででもあるかのように、遠廻りもせずに帰っていった。
家の近くまで来ると、急に気が弛んだせいか、足がふらふらするのに気付いた。そしてふとよろけかかったのを、手先で門につかまって、立直りざまがらりと引開け、その余勢でぴしゃりと閉めた。そして玄関までの石畳を、前のめりにすたすたと歩いて、格子を勢よく引開けたが、玄関の三和土に足がかりを失って、右左によろめいたのをきっかけに、頭の中もふらついて、眼の前のものがごっちゃになった。