Classici giapponesi con furigana
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はくもくれん
白木蓮
豊島 与志雄
Leggi 白木蓮 (はくもくれん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.039 caratteri · 24 schermate
喜美子は私の前で、何のはにかみもなく三味線を手に取ることもあった。技倆はまだ進んではいないが、覚えたものは確実に自分のものとしてるところがある。私の知ってる限りでは、彼女は「小鍛冶」が好きだ。「稲荷山三つの灯し火明らかに心をみがく鍛冶の道…」のその最初から、彼女の明るい顔は白皙とも言えるほどに澄んでくる。それから、剣を鍛える槌の音と麻衣を打つ砧の音と交錯するあたり、彼女の撥音は鮮かに冴えてくる。――そのように私が感ずるのも、酔い痴れた悲痛な心情から、小狐丸の名剣などに憧れる故であろうか。それとも、一片の清純な愛情を喜美子に寄せてる故であろうか。それはとにかく、喜美子は、喫茶店カツミの濁った空気にはふさわしくなかったし、また、加津美の遊蕩な空気にはふさわしくないのだ。
加津美のある一区域の外には、戦災による焼け跡が見渡す限り拡がっている。終戦後まだ一年半あまりで、電車通りなどにはぽつぽつ小さな家が建ってはいるが、だいたい原っぱだ。あちこちに瓦礫の堆積があり、いら草の茂みが冬枯れのままに残り、小さく区切った耕作地には、麦が伸びあがり蚕豆の花が咲きだしている。