Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しらゆきひめ

白雪姫

久生 十蘭

Leggi 白雪姫 (しらゆきひめ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.723 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

割目も割目だが、この辺の氷河の下は、いちめんに氷洞になっているのだとみえ、割目の側面の氷が欠けて落ちる音が、どーん、どーんと足の下から不気味にひびいてくる。クレヴァスの恐ろしい話は阿曽も聞いていた。途中の出っぱりにでもひっかかればいいが、そういう僥倖は千中の一例で、この中へ落ちこんだ人間で、曳きだされたということはまだない。助からないというのは、このことだった。あまり恐怖というものを感じない知能低劣なハナでも、こんな境涯で死ぬのは趣味ではないらしい。割目の端に立って、じいっと底のほうを見据えていたが、なにもいわずに、ひきさがってしまった。

割目の幅はせいぜい四尺ぐらいしかない。飛び越えようと思えば、わけなく飛べそうだが、なにものか、微妙な観念が運動を制止する。踏み切ろうと思うあたりの氷がやわらかくて、ふん切りがつかないのに、飛んだ先の氷の条件が不通なので、決心がつかないのである。

「危険なことは避けよう。どこかに渡れるところがあるはずだから」

阿曽がそういうと、ハナは、

「飛べないんでしょう。自信がなかったら、よしたほうがいいわ。見栄を張って、バカな死にようをしないことよ」