Classici giapponesi con furigana
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しろうまだけ
白馬岳
木暮 理太郎
Leggi 白馬岳 (しろうまだけ) di 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.746 caratteri · 28 schermate
一週間も前に溶けた所はもう花の盛りである。紅花苺や大桜草の紅い花、虫取菫の紫の花など、彼を見此を眺めて時の移るを知らず、或は初めて雪渓を辿る面白さに、脇目もくれずひた上りに上って行く人もある。何といっても登る一方で少しの無駄もないから、ゆっくり歩いても道は捗る。雪渓の表面には水蒸気が凝って烟のように漂い、風に連れて渦を巻きながら太い柱のようになって動いて行くことなどもある。其中に巻き込まれると生温るい感じがする。登るに従って勾配は次第に急となり、足が重くなって能く休む、少し立ち止っていると汗も一時に引いて寒さを覚えて来る。三時間近くも登って、恐ろしく急な小雪渓を横断すると、雪は尽きて久し振りに土を踏むような気がする、ここが葱平である。
雪渓の附近例えば白馬尻の小屋あたりに泊っていると、朝はさまざまな鳥の鳴き声で頗る賑かである。東が白み始める頃になると、最初に聞えるのが時鳥の声である。あのキヨキヨと五、六声連ねて鳴く特有の叫びも、五月の秩父あたりで青葉の奥に聞くのとは違って余程鋭いように思われる、場所が寒い為であろう。それから駒鳥だ、明るいそして朗かな大きな声でヒンカラカラヒンカラカラと鳴く。