Classici giapponesi con furigana
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ひゃくゆきょう
百喩経
岡本 かの子
Leggi 百喩経 (ひゃくゆきょう) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.474 caratteri · 21 schermate
「すこし塩をつけて喰べてみたらどう」
石膏屋のおかみさんが歯朶子に教えて呉れた。おかみさんは歯朶子に払う助手料を差引く代りに石膏置場の小屋を少し綺麗に掃除して呉れた。
「そうねえ。すこし塩をつけて喰べてみましょう」
歯朶子が返事した。
小屋の真中の勇ましい希臘の彫刻に手鞄を預けて歯朶子と男の逢い曳き――いきなり歯朶子は男の頬をびしゃりと叩いた。そして黙ってすまして居た。
「ひどい。なんの理由もなしに………」
性急にどもり乍ら男の声は醗酵した。
「あんたがあんまりおとなしいものだからよ。口説いたのよ。ここのうちの青熊が」
「青熊というのはここのうちの主人ですね。よろしい」
男の略図のような単純な五臓六腑が生れてはじめて食物を送る為以外に蠕動するのが歯朶子に見えた。男は慄える唇を前歯の裏でおさえていった。
「僕はここにある石膏をみんな壊してやる。それからあなたの職業を外の家にきっと探して来る」
その次におかみさんに逢ったとき歯朶子はいった。
「ありがとう。塩はほんとうに利いてよ。あの人に情が出てよ」
おかみさんは前に自分の云ったことを忘れて居た。そして歯朶子からはなしの全部を聞いて驚いて仕舞った。