Classici giapponesi con furigana
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ひゃくしょうやのすけのはなし
百姓弥之助の話
中里 介山
Leggi 百姓弥之助の話 (ひゃくしょうやのすけのはなし) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.621 caratteri · 99 schermate
この植民地には水田が無いから大麦と陸稲米を主食として居る、一昨日塾中に搗かせた餅もやはり全部陸稲の自家産である。これが終ってから百姓弥之助は燃え残りの榾火に木炭を加えて炉を直にこたつに引き直した、そうしてやぐらの上を直ちに机にしつらえて、それから元旦試筆というものにとりかかった。正月は思い切って字と画を書いてやろうと幾年ならず心がけては居たが中々果せない、今日の元旦こそはと思い切って筆墨紙の品しらべにかかった、硯は使い古しの有合せのものを使い墨はこの暮に丸ビルで三円で買って来た香風墨と云うのをおろし筆は有合せの絵筆細筆で間に合せ、硯の水は塾生が早朝に汲み上げて呉れた井戸の若水を用い、それから棚に向って用紙の品しらべをやり出した。
棚には十年も前からの頼まれものが、うず高くたまって居る。封を切らないのが大部分そのままにしてある、筆を揮う事は興に乗じてやりさえすれば何の事はないのだが、とりかかる迄がおっくうで無精でついつい延び延びになってるうちに七八年位は経過してしまう、全唐紙の大物もあれば絹本もあるし半切もあれば扇面も色紙も短冊もみんなごっちゃに、封を切ったのと切らないのと雑然と棚に積み上げられて居る。