Classici giapponesi con furigana
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ひゃくしょうやのすけのはなし
百姓弥之助の話
中里 介山
Leggi 百姓弥之助の話 (ひゃくしょうやのすけのはなし) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.621 caratteri · 99 schermate
ところがこんどはたしか三日ばかりも在京して、また戻って来て見るとその夜に至るまでとうとう猫は来ない、夜が明けても昼になっても姿を見せない、非常に残念な気持がしたが、とうとうそれっきり姿を見せないのである。
それからまた東京へ一往来して帰って来て一人寝たが猫は来ない、若しやと思って気をつけたがとうとう来ない、処が夜中に戸の外でニャウと啼く声がした、そら来たなと思って、こちらもニャウと鳴き、チュッチュッと呼びながら障子を開けて戸を細目に開き、水窓までも開けて置いてやったのみならず、また飯と目刺とを縁側へ備えて待ち受けたが、それきり夜明まで猫の啼き声はしなかった、無論、飯も目刺も口をつけられずに残されている。
諦めてしまったが、その翌晩になるとまた戸外でニャオと啼いた、また起きて、戸を開けて見てやったがそれっきり音沙汰が無い。
戸の外まではたしかに忍んで来たものに相違ないのである、しかし、その猫が前になずいたところの小虎でありはあったが、もう既にかりそめの飼主の声を忘れてしまって他人行儀で恐れて近づかないのか、或はまた全く別の野良猫が空巣をあさりに来たつもりの処を、思いがけなく中に人がいることに恐れをなして逃げて行ってしまったのか、そのことはわからない。