Classici giapponesi con furigana
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め
眼
徳永 直
Leggi 眼 (め) di 徳永 直 (とくながすなお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4671 caratteri · 10 schermate
利平は、呆然としてしまった。
そんな筈はない……確かに会社の中へ、トラックで送り込んだ筈の利助だったのが……しかし、まごうべくなく利助は、素ッ裸で革命歌を歌っているのだ。
「皆さん、着物を着て下さい。御飯も出来ましたよ」
女工の一人が大声で云っている。女達がてんでに、お櫃を抱えて運ぶ。焼かれた秋刀魚が、お皿の上で反り返っている。
「これはどうしたことだ?」
利平は、半ば泣き出したい気持になった。「利助、利助」女房は、塀越しに呼びかけようとした。
「馬、馬鹿ッ、黙れ」
利平は、女房の口に手を当てて、黙らせた。
「さぁ、引ッ込め、障子を閉めろ」
利平は、障子に手を掛けたとき、ひょいとモ一度、利助の方を見た。
そのとき、知っていたのかどうか、利助は着物を着ながら、此方を振り向いた。そしてじっと、利平の顔を見た……と思った、その眼、その眼……。
利平は、あわてて障子を閉め切った。
「あの眼だ、あの眼だ、川村もあの眼だ!」
利平は、おしつぶされるように、寝床に坐ってしまった。
「あんた、利助はどうして会社から脱け出したんだろう……え、あんた」
利平は、頭をかかえて黙っていた。