Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やのしのとい

矢押の樋

山本 周五郎

Leggi 矢押の樋 (やのしのとい) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.468 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

「水練の意味がはじめて読めた、他の人々は知らぬが、拙者は御意見に感服したのです、それでお詫びがしたくてまいったのだが、……矢押どの、濠の水量は云われた通りでござるか」

「拙者は前後幾度も底へ潜って調べました、一の濠には噴口が二ヵ所あって、かなり強い勢いで噴出しております」

「どうしてお調べになった」

「千切った紙片を水面に撒きました。噴口の上に当るところは、浮いた紙片が円を描きながら散大します、それで噴口の位置も分り、また水の深さと、水面の紙片の散大する速さを考え合せて、凡そ噴出す量の見当をつけたのです」

紙片を飛ばしているのを見て、ただ埒もない悪戯をすると思った、……あのときの自分を、重太夫はいま新しく思出した。

「拙者は半月ほどまえに、農民たちが退国しようとしている事実を、北見村の吉井幸兵衛から聞きました。そしてそれを防ぐ手段はこうする他にないと思ったのです。然し兄の人望と智しさが無ければ、老職方の同意を得ることはむつかしい、兄が帰ったら助力を乞おうと考えていたのですが、……結局はこんな事になってしまいました、矢張り拙者では駄目だったのです。死んだ父からよく、貴様は矢押家の瘤だと云われましたが、こうなると矢張り、瘤は瘤らしくやるより他に仕方がありません」