Classici giapponesi con furigana
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いしころ
石ころ
山本 周五郎
Leggi 石ころ (いしころ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.450 caratteri · 23 schermate
「それを云ってごらん」
松尾はいつぞや隠居曲輪であった事をあらまし語った。するとそれまで黙って聴いていた兄の万三郎が、「ばかなことを申したものだ」と腹立たしげに云った、「なんでまた多田の蔭口にかぎって咎めだてなどしたんだ、ほかの者ならとにかく、多田新蔵がどういう男かということはもう世評がきまっている、それをそのように云い庇えば、あらぬ噂がひろまるのはわかりきったことではないか」「はい、本当にかるはずみでございました、これからはきっと慎みます」おとなしく低頭した松尾は、しかしすぐに父の顔をふり仰いで、「父上さま改めてお願いがございます」と云いだした、「松尾もいつかは嫁にまいるのでございましょうか」
あまり突然の問いで父親はちょっと返答に困った。
「それは云うまでもないが、どうして今そんなことを訊ねるのだ」
「もし嫁にまいるのでしたら、松尾は多田新蔵さまへまいりとうございます」
「ばかなことを申すな」万三郎がどなるように遮った、「今あらぬ噂のたっている者とさようなことになれば、噂が事実だったと証拠だてるようなものではないか、まして多田新蔵などとはもってのほかのことだ」