Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つぶてしんじゅう

礫心中

野村 胡堂

Leggi 礫心中 (つぶてしんじゅう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.190 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

何うなる事かと暫らく鳴を鎮めたところへ、二十幾条の刃に入れ代って、当の水野越前守忠邦、静かに門の外へ立って、冷たく上品な顔を挙げたのです。

「あれが江戸潰しだ」

「水野の殿様だ」

「やっ付けろ」

蘇がえった町人共の忿怒と共に、罵詈と礫の雨が、門の扉を背後にして、町人共を説破しようと言う水野越前の面上へ降り注いだのです。

「待った皆の衆」

飛出したのは要次郎でした。

「何を犬奴、引込んで居ろ」

「いや、引込んで居られるものか、――悪いのは水野様では無い、水野様が無慈悲な方なら、そんな乱暴を許すものか、お願いだから退いてくれ」

要次郎の顔は青白く人混みの中に浮きます。

「何を言やがる、手前も水野の家来だろう、これでも喰えッ」

バラバラと飛んでくる礫、その一つは要次郎の額を打って、タラタラと血潮の糸を引きます。

「静まれ静まれ南の御奉行様の御出役だぞッ」

人波を別けて、悠然と現われたのは、暴民鎮圧に向った南町奉行鳥居甲斐守忠燿、青毛の馬に跨がり、裏金の陣笠を夕陽に輝やかせ、鞭を挙げて高々と叱咤します。

「鎮まれ、鎮まれッ」

その時でした。鳥居甲斐守の叱咤の声に誘わるように、群衆の波の底から、一と叢の焔のように飛上った女があります。