Classici giapponesi con furigana
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わたしのりれきしょ
私の履歴書
井上 貞治郎
Leggi 私の履歴書 (わたしのりれきしょ) di 井上 貞治郎 (いのうえていじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 34.380 caratteri · 69 schermate
と大声をあげて廊下を走ったら、お静に『貞吉っとん、なにいうてなはんね、ごりょうさんやがな!』とどなられた。気がついてみればお房とは奥さんの名だったのである。
またある日、奥さんから川西家の親類で「じばんじょう」を借りてくるように言いつけられた。なんだかわからないが、忘れたらたいへんと『じばんじょう、じばんじょう……』とお経のように唱えながら道を急いでいると、途中で犬がつがい合っていた。石をぶっつけておもしろがっているうちに『? ?』。肝心の「じばんじょう」を忘れてしまったのである。仕方なく先方で『あのじばんなんとか……』と口の中でごまかしたが、通ぜず、先方から電話で聞いてもらう始末。そのとき知ったのだが「じばんじょう」とは大きな「ひのし」のことだった。そんな生活の中でも、私は新聞を教科書に勉強はしていた。『おれも大だんなみたいにえろなったるぞ』と生意気にも思い続けていたのだ。
ごりょうさんの背をふろで流すのも私の仕事だったが、ある日ふろ場でごりょうさんがいわれた。
『貞吉や、つらいやろけど、別家するまで辛抱しいや』
親切な言葉にふっと目頭が熱くなったが、一体別家とはどんなふうにしてもらえるのかが気になり出した。