Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate
ま、通してみい」
義貞は、待った。
ふとうごいた彼の心理を、たぶんな好色家心理とするのは当るまい。彼はまだ二十四、五。はち切れそうな肉体である。それに、遠祖八幡太郎の若き日も、かくやと思われる眉目だった。ただその彼に美男の自意識がチラつくのは、すこし疵だが、それも家臣一統からすれば、新田小太郎義貞の威とも光彩とも仰がれる一種の魅力ではあったであろう。
「めずらしいお訪ねだの、尼御前には」
「はい……火急なお願いごとで」
「足利から今ごろ着くには、よほど暁早くにお立ち出でか」
「もう、見得もわすれて、牛の背でまいりました」
「はははは。それや見たかったな。牛の背の美しい尼御前は、さぞや、墨染の普賢菩薩そのままであったろうに」
「…………」
草心尼は、口をつぐんだ。
美しい、とよく人にいわれるのが、この女性には、いちばんいやなことらしい。
が、義貞は思ったままを、その通りに口にいったまでだった。のみならず何か、もてなしたい気もちすらわいて。
「さだめし、朝のおとき(食事)もまだでおわそう。じつは義貞もすんでおらぬ。ちょうどよい折、共に朝餉でも」
「いえ、もう」
尼はいそいで白い手を膝の上で振った。