Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(一)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate

Aozora Bunko

ここは錦小路の、俗に“請酒屋”とも“小酒屋”ともよぶ腰かけ店だ。こんな所へ、ご案内したと知れただけでも、あとで上杉殿からどんなお叱りをうけるかと。

かつて、自分は六波羅の大番役も勤め、都は何度も見ていたが、又太郎ぎみには、初めてのご見物だ。すべてが、もの珍しくてならないらしい。

ところで、こんどの上洛では、彼も驚目したことだが、なんと都には、酒屋が殖えたものだろう。――という感を、ここの亭主にただしてみたら、十年前には醸造元の“本酒屋”も百軒とはなかったものが、当今では洛中だけでも二百四、五十軒をこえ、その上、近江の百済寺で造るのや、大和菩提寺の奈良酒だの、天野山金剛寺の名酒だの、遠くは、博多の練緯酒までが輸入されてくる有様なので、請売りの小酒屋も、かくは軒を競っておりますので、ということだった。

なるほど、これは自分たちの国元、関東などでは見られない。

だが、この凄まじい酒屋繁昌は、人心の何を語っているものか。ただ単に、これも泰平の余沢といえる現象なのか。

主従しての、そんな話から浮いて、つい、

「何も土産ぞ。奈良酒とやら百済酒とやら、ひとつ、飲みくらべてみようではないか」