Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate
……いや、どうして、それを知った。たれに聞いたぞ」
「いや、いえませぬ。口を裂かれても、その人のお名だけは」
「そちの知るはずはなし、あの折、たれも御霊屋にいた者はないはずなのに」
「天知る、地知る。人知るとか。……たとえ、置文は焼いて灰となされても」
「しゃッ、この下郎めが」
高氏は、突っ立つやいな、太刀の鐺に、ぴッと鵯の尾のような神経を見せて。
「おのれ。主人の秘事を嗅ぎ知って、誇りおるか」
「いや。主家の大事、また若殿が御一生の岐れ目とも存ずればこそ」
「だまれっ。世に洩れたら、即座にわが足利家の命脈にもかかわること。それを汝は、盗み知ッたな」
「いや、決して、世間に口外などはいたしません。この後とても」
「いうなッ。何といおうが、もう追いつかぬ」
将来の惧れと、当面の処置とに、高氏の若さは、当惑の極に立っていた。
「これっ、そちは、わしが童の頃より傅役として付き添い、わしもそちを友とまで思うて来たが、今はゆるせぬ。置文の秘を知ったからには、生かしておけん。……不愍ながら命は貰うぞ。それとも、腹を切るか」
「いやでござりまする」
「いやだ?」
「この右馬介とて、今は死ねませぬ。