Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate
覚一はすり寄って、その手さきで、母の膝をさがし当てた。
「私はいい子か悪い子か、じぶんでは分りません。それに生れながらの盲。もし覚一に、いけない癖が出たら、お母あさまの手で打ッてください。打ちすえて下さいまし」
「ま。なんで母にそんなことが出来ましょうぞ。そなたの父御も、戦でお果てなされたが、その父御は、そなたの不具を、自分のなした業のむくいか、遠い武門の祖どもが、多くの人々を殺めたゆえの因果かと、よう仰っしゃっておいでだった……。何も知らず、そんな因果を負うて来たそなたを、どうして母が」
「でも、覚一が都に出て習んでいた間には、お師の禅師さまにも、よう叱られました。憶えが悪いといっては、琵琶の撥で打たれ、節語りに、東国訛りが抜けぬといっては、お手の中啓(半開きの扇)を、この盲の顔へ抛つけられたり……」
「オオ、そのように、おきびしいのか」
「それくらいはまだ、なんでもありません。寒稽古には、霜夜の庭の素むしろに坐らされて、喉も破れ、凍えた指は、琵琶の糸に、血のしたたりを濡らしまする。――さてまた、お師の禅師の前で、うかと、眠たげな弛みでも見せようものなら、なお大変です。