Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(一)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(一) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 246.214 caratteri · 495 schermate
「これか。これが六波羅の放免頭の忍ノ大蔵なるものか。……多年、こやつの配下には、われらもずいぶん苦しめられたものだが、しかし敵ながら珍重すべき手腕の奴。ひとまず、お師の山荘まで引ッ立て行こうじゃないか」
彼の提案に、五郎も、俊秀も、よかろう! となったらしい。すぐ細ヒモで大蔵の両腕を後ろに縛ッて立ち上がらせた。――そして、菊王と頼春の二人へも、こう誘った。
「これより古市へ引っ返すには、夜半にかかるし、また途中で再度の難がないとも限らぬ。ともあれ、近くのお師の家までお越しあらぬか」
菊王と頼春にも、ようやく、どことも知れぬ体じゅうの痛みが思い出されていた。――古市で待つ日野俊基の方も気がかりではあったが、
「では、仰せに任せて」
と、三名の後について行った。
いつか陽も山蔭。――高野街道をすこし戻って、西へ入ると、山はいよいよ狭ばみ、谷は深く、たそがれの模糊を探り探り、道とも見えぬような所ばかり分けて行くのだった。
やや不安を覚えたのか、菊王がそっと、中院ノ雑掌俊秀にたずねた。
「各※(二の字点、1-2-22)方、お師とは、そも、どなたのことですか。またお住居とは、どの辺なので?」