Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
後見の父親房は、あの「神皇正統記」の著者でもあった。それでもわかるように身を持すことみずからきびしく、神国、皇室、万世一系を緯とする主義のほかには生きがいもないかのような人である。顕家はこの人の鋳型に鋳られた理想の子として親の目にも映っていた。
そのむかし、この顕家もまだ十四歳の左中将の若者であったころ、北山殿の行幸に、花の御宴に陪して、陵王の舞を舞ったことがある。
よほどその紅顔可憐な姿がお目にのこったものとみえ、みかどはそのごもよく「あの、花陵王はどうしているの?」と父の親房へままおたずねがあったりした。――その紅顔の子顕家が、今日の国難に赴く奥州軍の総帥だった。思わぬ任地へ来て二年、北国の朔風に研がれた馬上の子は、その生涯の方向を、いまは誰かに決定づけられていた。
ともあれ、どう急いでも顕家がその鎮守地――陸前多賀城ノ柵――を発したのは十二月半ば頃であったろう。
みちのくの山はすべてまッ白だった。行軍は明け暮れ吹雪になやまされた。
柵の留守も要る。初め兵は千にも足りぬ編成だったので、その長途をあやぶまれたが、顕家は、
「行く行く、途中で参陣の約ある者三、四千はかぞえられる。