Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
大望の道、まだまだ遠し、とする心にも。
または、やるかたない敗軍の将の断腸の思いとも。
あるいは、家郷をも失わせて、ちりぢりにさまよわせている子や妻や愛する者たちへのつぶやきかとも解いて解かれないことはない。
もしたれかが、
「さようなお歌の意にございましょうな」
というとしたら、尊氏は「うん」とうなずいて、わが意をえたりとしたろうか。おそらくはそのどれへも笑ってうなずいたかもしれぬ。けれどもわが意を解いたものとはしないだろう。――彼のむねに、まだ晴れやらぬ、思いをなさしめていたものは、逆賊尊氏の汚名を着たままやぶれ去って行くことだったにちがいない。
篠村八幡へこめた願文にも、彼は国内平安と朝家の御為をうたっている。家の名をはずかしめずともいっている。また彼の思想からも元々、逆賊叛臣が本懐ではない。やぶれは時の運と観じ去っても、それだけはなにか拭いきれぬような――晴れやらぬおもい――となり、口でいえぬ歌となっていたかにおもわれる。
「介は、どうしたか」
彼が、切望に切望していた持明院統のお一ト方による院宣はついにこの日までまだ手にすることができなかった。