Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate

Aozora Bunko

こうしたうちに。十月。

都からは、ゆゆしい勅使の下向と聞えてきた。やがて、詔を奉じてきた御使は、中院ノ源中将具光で、こういう朝命の降しであった。

「東国の逆乱もすみやかな静謐を見、相共によろこばしい。さっそく将士の軍功の施与は、綸旨の下に、朝廷で宛て行うであろう。されば尊氏には、一日も早く帰洛し、六波羅にもどって、逐一の報告を親しく上聞に達しおわられよ」

時局も時局である。しかも、勅の旨は、

尊氏みずから、すみやかに、上洛あるべし

という厳命だ。

勅使中院ノ具光は、おごそかに尊氏へ伝達してから、個人的なくつろぎに返って、

「いやなに宰相。即答はごむりであろ。何かと周囲むずかしい御多端も拝察に難くない」

と、言い足した。そしてまたいうには、一族間の御協議などもおありであろうゆえ、両三日のことなら逗留してお待ち申すもよい。とにかく、明確なご返辞をえて帰洛したい、と釘を打つのだった。

「こころえてござりまする」

尊氏は、旨を拝した。

それなり沈黙におちている。――熟慮のうえでともいわず、即答したことでもない。

中院ノ具光がじっと観るところ、なにさま、尊氏の心中は困惑そのもののようにうかがわれる。