Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
指のさきも、ひれ伏した鬢の毛も、ふるえていた。潸然と、涙してないだけだった。
「廷尉。退がんなさい」
「……は」
「疾う。退がらっしゃい」
「はい」
「なにを猶予」
「未練にはございますが、いまを措いては、まったく時を逸します。あわれ、まいちど、御集議にかけ給わって」
「それどころでない。逆鱗あらせられた御気色ですらある。――きっと、今日のことは、やがて重いおとがめでもあろうぞ」
「正成の身、たとえいかような罪に問われましょうとも、その儀はいといません。ただ何とぞ以て、いま一度の御評議でも」
「何と、物の見えぬ鈍い男よ。ばかな!」
と、公卿たちは一せいに立った。
そして声のない笑いを正成の背へ向けながらみな去った。