Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(七)

吉川 英治

Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate

Aozora Bunko

――しかし正季が思っていた人間とはそれは違っていたらしい。まもなく正季は立ち去っていた。

「…………」

眼のすみで、それを知った男の容子には、ほっとしたいろがみえる。モミ上げを焼きちぢらし、顔も何かで汚していたが、これが右馬介であることはいうをまつまい。

さとられたかな?

と彼は一とき腹をかためてはいた。しかし、龍泉殿の生一本な気性は彼も知っている。取り返しのつかぬことはしてはならない。――やはり正成に直々会う機会を得るまでは――と、南無三、わからぬことを密かに念じていたのだった。

が、ここにいたのではいつその機会をつかみ得よう。きのう老臣の恩智左近も言っていたし、またその人の後ろ姿を目に見てもいた。正成はいま金剛山寺にのぼっている。はや下山の途にあるか、なおまだ山上か、そこは冒険だが、あわよくば正成に会える絶好な機縁が、絶好な山中において、めぐまれぬことでもあるまい――。

彼は仮病を思いついた。

翌日、係の武士へ持病を訴えて暇をとり、里へ出て探ってみると、正成はまだ下山した様子はない。さてこそやはり機会は今だったと、足を早めて、彼はたちまち金剛の山上をさして急いでいた。