Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
むしろ正成の心は、気が気でないものだったかもしれなかった。
その急使は、洞院ノ実夏がここへ臨んで勅をつたえた当夜の真夜中、すでに正成の或る密命をうけて、河内からみなみの遠くへ、馬をとばしていたのだった。――一族のうちでは、もっとも寡言だが重厚な人物といわれる南江備前守正忠に、正成の甥、楠木弥四郎もついて行っている。
どこへ?
とは、正成と爺のほかには、たれも知らない。
しかしその夜からかぞえてもまだきょうは六日め、さきの返答をえて返るには距離から考えてもむりである。……爺の左近は正成が見終った沢山な簿冊を両手にかかえてひとまずそこをさがってきた。そして納戸へむかって主屋の大廊下をまがりかけると、
「じい」
「じい!」
「それ、なに」
たちまち、次男の正時、三男の三郎丸(正儀)。それに卯木の子の、まだ四ツでしかない観世丸までが、一しょになって彼の足もとにからまって来た。
「オオ、これはこれは」
「じい、逃がさないぞ」
「見つかりましたな」
「見せて。それを」
「これはだいじな御書類でござりまする」
「うそだい」
「いえいえ、和子さまたちが御覧になってもつまらぬものでしかございませぬ。