Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
見れば、河内に残して来たはずの正行だった。
「ほ。……」
正成はつい微笑を持った。
何しに来た?
と、理性の父であろうとしても、見ればやはり、目のうちにも入れたいような眼になって、その相好だけでなく、両のあぐらの膝までを和ませて、
「正行ではないか」
と、言った。
「はいっ」
正行は、かたくなっている。小柄なからだを、なお小さく両手をつかえ、父に叱られるであろうことを、その姿は、覚悟しているふうだった。
「お父上。おゆるしください。おあとを慕って、無断、御陣中へ来てしまいました。母と共に留守しておれとの、おいいつけではございましたが」
「いつ参ったの」
「きょうです」
「一人でか」
「いえ、叔父ぎみ(正季)とご一しょに河内を出ました」
「……だろうな。たそがれ、正季が申した言葉の端、さようなことでもあろうかと思うていたわえ」
「でも、叔父ぎみを叱らないでくださいませ。私がむりにお願いしたのです。あのように、お諭しをうけて、一たんは思い断ったのですが、また、どうしても思いきれません。それで、叔父ぎみにおすがり申し、たッて連れて来ていただいたのです」
「母へは」
「え、母ぎみにも」