Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(七) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 330.262 caratteri · 662 schermate
――そして御池殿の広間に寄合う。――とくに今日は沼のようなおもくるしい一日だった。
あの師直が、
「世情はまだ渾沌だわえ。夜明けるたびに、何が勃発しているか、油断もならん。イヤ、どえらい事になったものよ!」
と、猪首を振って言った諧謔調にさえ、たれひとり苦笑も示す者はなかった。
そこへ。
「錦小路殿のお見え」
と、聞えてきたのである。人々は、必然な期待と色めきを持って彼を迎えた。
しかし、これへ臨んだ直義の眼も、ギラついていた。なす事もなく、ただこれにいる一同へすら、腹をたてているやに見える。――後醍醐の逃亡先は、いぜん分らん。かいもく知れん。――と、告げたのみで、
「ここに大御所はお見えでないが、兄上はまた、奥で、地蔵のお絵でも描いておられるのか」
と、かんで吐き出すように、言ったりした。
が、その尊氏は、彼を待っていたのであろう。直義が見えたと聞くと、やがて姿をみせた。そして、おもむろに、一同へむかって言った。
「すべてわしの目違いだった。何ら直義の手落ちではない。しかも、このたびのことは、後醍醐のきみの、御意のままに出たことで、以後の責任はわれらにはない。