Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
正成もここではもう、その戦疲れを隠そうとしていなかった。
子供たちは、なお、ねばって。
「では、今夜は、お父さま、ここへ泊まるの」
「ね。一しょに寝ような」
「晩のごはんも」
「お、久しぶりで、みなと共に喰べようぞ」
「あしたの晩も」
「いや、こん夜だけ」
「どうして?」
「ははは。よう聞けよ。近くのいくさは終ったが、まだまだ遠い九州や東国では、合戦の最中なのじゃ。そこで今のうちに、赤坂の館をこしらえ直して、母者やおまえたちを、元の住居へ返したり、父や一族どもも、次の備えをしておかねばなるまいがの。……また何事が起ってもビクともせぬように」
「うれしい。赤坂へ返るんだとさ」
子供らは手をたたいた。そして、父と母のまわりを、めぐり廻った。
「殿」
久子は、やっと、子供らから譲られたような良人のそばへ、こころもちすり寄った。
「わたくしたちは、なおここにいても、さして不自由はございません。それよりは、お体のご養生を、幾日なりと、ひとまず先に遊ばしてから……」
「いや、いや」と、正成はかろく首を振って「館の修築を急ぐといえば、わたくし事のようだが、それも軍事の急なのだ。畿内洛中も、まずは宮方一色に風靡されたが、いつまた、意外な兵変を見ぬ限りでもない。