Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
しかし高時との約束もある。からくも血路を切りひらき、葛西ヶ谷へいま引きあげて来たものだった。
「次郎、よく帰った」
と、高時はうれしそうだった。いまは臣下でもない。一人の幼友達と見るような眼で、
「その深傷では、酒はのめまいが、杯だけを持て。新右衛門、兄の手へ持たせてやれ」
と、小姓の長崎新右衛門をふりむいて言った。新右は十五歳、次郎高重の弟なのである。
「おさかずき……、ありがたく」と、高重は杯を胸に抱きしめ。
「……いただきます」と、しいて笑った。笑いつつ刻々にせまる死がその若い目もとを青ぐろくしかけていた。
「高重、高重。もすこし怺えろ。今生の名残りに、高時が肴してみせる。新右衛門、わしの薙刀をよこせ」
高時はそれを持って、得意の舞を見せようとするのらしい。すっと起って、足拍子を踏み出しながら。「みなも謡え。高時と一しょに謡え」と、あたりの諸将へ合唱をうながした。
年へたる
鶴ヶ岡べの
やなぎ原
高時は舞いながら謡い出した。
薙刀を手に。
茂るもくるし
青のみだるる……
そこでまた、舞をやめ、彼はあたりへ、さいそくした。
「やい、みなの者、なぜ声を合わせて、謡わぬか。