Classici giapponesi con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
Leggi 私本太平記(五) (しほんたいへいき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 252.330 caratteri · 505 schermate
なかなか、きさまも風流だな」
「ごらんでしたか。いや風流どころではございません。つい癇しゃくを起しまして」
「どういたした」
「さき頃からこの身を昼夜悩め苦しめておるやつを、やっと一ト思いに退治しておりました」
「歯か。抜いたのか」
「いかがでございます。今朝の師直の顔は、晴れ晴れとお見えでございましょうが」
「まだ血がついておるわ、口の端に」
「あ、さようで」
と、懐紙を取り出すはずみに、毛抜きと共に抜いた大きな奥歯をくるんだ物も膝へ落した。
「それで抜いたのか。師直」
「はい、これで」
「毛抜きで歯を抜くとは。はははは、無茶な男だ」
「殿には、歯痛の苦を御存知ありませぬな。古い虫歯なので、ヘタにしたら根を残しまする。そこで毛抜きを用いましたところ、ズバと鬼歯の根も除かれ、なんともいえぬこころよさにござりまする」
「よかった。それでわしも朝々そちのまずい面を見ないですむ」
「おそれいります。なぜか今朝はよくお戯れを」
「寝坊したせいだろう」
「行幸のおん供三日、昨夜もおそいご帰館で」
「さればよ、疲れはてた。気づかれでな」
「てまえは留守役だけのものでしたが、殿には、えらいご危難にお会いなされましたとか」